自分でできる防音-アン・ノイズ

■ 壁の種類と防音性能 / 防音の方法

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− 壁の種類と防音性能 −

今ある壁がどういうものか、防音性の特徴をつかむ事で無駄のない騒音対策ができます。

現状の壁の防音性を知る事が、
防音対策の第一歩です。

【 一般的な壁 ( 内壁 ) 】

表記の防音性能(dB)は、測定値を基にした大まかな値です。
( 壁の防音性は個々の条件・内容により変動しますので一つの目安としてお考え下さい。)

  • 石膏ボードの壁(木造)
    木製の下地(胴縁)に石膏ボードを打ち付けた壁の形態。内部にグラスウールを設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約30〜35dB (500Hz時)
    木造住宅で最も多いタイプです。
    [ 厚さ:130mm〜145mm ]
    [ 面密度:12〜24kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    石膏ボードが振動し音が伝わりやすい断面です。グラスウールも断熱が目的の為、内部反響を抑えるには不十分です。
    低音から中音域の音が良く聞こえます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音〜高音域、話し声などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    騒音の種類と防音方法 騒音の種類と防音方法 / 新しいタブで開きます。
    防音性能と重さの関係 防音性能と重さの関係 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。
  • 石膏ボードの壁(鉄骨造)
    鉄製の下地(スタッド)に石膏ボードを打ち付けた壁の形態。内部にグラスウールを設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約30〜35dB (500Hz時)
    鉄骨造の建物で最も多いタイプです。
    [ 厚さ:100mm〜150mm ]
    [ 面密度:12〜24kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    石膏ボードが振動し音が伝わりやすい断面です。グラスウールも断熱が目的の為、内部反響を抑えるには不十分です。
    低音から中音域の音が良く聞こえます。
    木造よりも音が響きます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音〜高音域、話し声などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    騒音の種類と防音方法 騒音の種類と防音方法 / 新しいタブで開きます。
    防音性能と重さの関係 防音性能と重さの関係 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。
  • 石膏ボードの壁(RC造+GL工法)
    鉄筋コンクリートの下地にGLボンド(石膏系接着剤)で石膏ボードを貼り付けた形態の断面図。
    ■防音性能:約45〜60dB (500Hz時)
    一般的なタイプです。
    [ 厚さ:180mm〜280mm ]
    [ 面密度:240〜360kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    石膏ボードが共鳴板となり、高音域の音が透過してきます。
     例えるなら、コンクリートが糸、石膏ボードが紙コップの糸電話になります。
    ※低音域の音が透過する場合もあります。
    [ GL工法による共鳴透過 ] 参照元:吉野石膏 / タイガードリーミィ65 / 新しいタブで開きます。
    ※防音性に問題がありながらも施工が簡単なことから現在でも採用されている仕様です。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音〜高音域、話し声などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音、換気扇のモーター音、エレベーター室からの機械音などの固体音。
    【防音方法】
    ・既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    ・または、石膏ボードとは異なる固有振動数の素材を貼り、共鳴振動を抑えます。
    ( 効果が現れない場合もあります。)
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  • 石膏ボード[9.5mm厚]の防音性能グラフ。/ 理論値と測定値

    石膏ボードは響きやすい為、質量に対しての防音効率が低く、
    特に4000Hz付近で共鳴透過現象( コインシデンス )により防音性が低下します。

    防音性能の理論値については、 防音性能の自動計算 防音性能の予測 / 自動計算ページをご参照下さい。

【 その他の壁 ( 内壁 ) 】

  • 土壁 (木造)
    格子状に組んだ竹を芯とし、水とよく練った土を塗りつけて乾燥させた壁。仕上げ塗りに漆喰を塗ると漆喰壁となります。
    ■防音性能:約40〜45dB (500Hz時)
    土を主原料とする日本家屋古来の壁です。
    仕上げ材によって名称が変わります。
    [ 漆喰壁、京壁、珪藻土壁、砂壁 等 ]
    [ 厚さ:60mm〜80mm ]
    [ 面密度:80〜100kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    壁の殆どが土のため密度と質量があり、低音から高音域までムラのない一定の防音性があります。ただし、柱が見える仕様の為、厚さが不十分で、重低音・低音の音は聞こえてきます。 また経年により、柱と接している部分にスキマが発生し、音漏れする場合があります。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音などの空気音。
    ・扉の開閉音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
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    防音性能と重さの関係 防音性能と重さの関係 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。
  • ALC壁 (鉄骨造)
    コンクリートを発泡させて硬化させた軽量コンクリートの壁の断面図。
    ■防音性能:約25〜35dB (500Hz時)
    無数の細かい気泡を含んだ
    軽量コンクリートです。
    [ 厚さ:75mm〜150mm ]
    [ 面密度:45〜90kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    比重が0.6と小さいため低音から中音域の音が良く聞こえます。( 身が詰まっていない。)
    ALC板は、鉄骨の揺れに応じて動く事を前提に設置されますので60cmピッチの継ぎ目にスキマができやすく、そこからの音漏れも発生します。(継ぎ目パテの経年劣化に伴い)
    防音上、単体としては不十分ですので石膏ボード貼りやモルタルを塗っている場合があります。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音〜高音域、話し声などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    騒音の種類と防音方法 騒音の種類と防音方法 / 新しいタブで開きます。
    防音性能と重さの関係 防音性能と重さの関係 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。
  • 鋼製壁 (鉄骨造・RC造)
    薄い鉄板の箱の内部に不燃性の硬質ウレタンマットを充填した壁の断面図。
    ■防音性能:約25〜35dB (500Hz時)
    事務所の間仕切り壁などに
    使用されます。
    [ 厚さ:42mm〜150mm ]
    [ 面密度:10〜30kg/u※ = 壁の質量 ]
    ※メーカーにより異なります。
    【防音性】
    厚さが100mm以上のものは低音から高音まで防音性がありますが、実際には100mm未満のものが多く、低音〜中音域の音がよく聞こえます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音〜高音域、話し声などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
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    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。

【 防音性を向上させた壁 ( 内壁 ) 】

  • 石膏ボード壁 (木造)
    木製の下地(胴縁)に合板、石膏ボード、硬質石膏ボードを打ち付けた壁の形態。吸音に充分なグラスウールを内部に設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約45〜50dB (500Hz時)
    幹線道路が近い住宅などで
    見られるタイプです。
    [ 厚さ:180mm〜195mm ]
    [ 面密度:40〜50kg/u ]
    【防音性】
    合板に石膏ボード2枚を貼り付け、異なる材を組み合わせて振動しにくくさせています。また、内部反響を抑えるに充分なグラスウールも設置されています。
    中音域から高音域の音は、殆ど聞こえないか、わずかに聞こえる程度にまで防音します。
    重低音・低音も低減されますが、聞こえてきます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
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  • 石膏ボード壁 (鉄骨造)
    鋼製の下地(スタッド)に石膏ボード、硬質石膏ボードを打ち付けた壁の形態。吸音に充分なグラスウールを内部に設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約45〜50dB (500Hz時)
    防音性を重視した共同住宅で
    見られるタイプです。
    [ 厚さ:150mm〜200mm ]
    [ 面密度:40〜50kg/u ]
    【防音性】
    石膏ボード、硬質石膏ボードと固有振動の異なる材を組み合わせ、振動しにくくさせています。また、内部反響を抑えるに充分なグラスウールも設置されています。
    中音域から高音域の音は、殆ど聞こえないか、わずかに聞こえる程度にまで防音します。
    重低音・低音も低減されますが、聞こえてきます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの低音などの空気音。
    ・ドアの開閉音、給排水管からの流水音、足音、イスを引く音などの固体音。
    【防音方法】
    ・空気音に対しては、壁の質量を増やして防音性能を高めます。
    ・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    騒音の種類と防音方法 騒音の種類と防音方法 / 新しいタブで開きます。
    防音性能と重さの関係 防音性能と重さの関係 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。
  • コンクリート壁 (RC造)
    鉄筋コンクリートの壁そのままの断面図。
    ■防音性能:約50〜60dB (500Hz時)
    コンクリートに直に塗装、
    又は、クロスを直に貼っているタイプ。
    [ 厚さ:120mm〜200mm ]
    [ 面密度:280〜480kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    余計なものが付いていないため、コンクリートの重さによる質量則により低音から高音まで殆ど聞こえなくなります。
    コンクリートが薄い場合、重低音[ 100Hz以下 ]が残って聞こえてくる場合があります。
    また、コンクリートは、硬く振動を伝えやすい為、じかに当たった音は、よく聞こえてきます。
    【おもな騒音】
    ・音響機器からの重低音。
    ・ドアの開閉音、足音、イスを引く音、給排水管からの流水音、換気扇のモーター音、エレベーター室からの機械音などの固体音。
    【防音方法】
    ・重低音・固体音に対しては、既存の壁と極力絶縁して防音材を設置します。
    騒音の種類と防音方法 騒音の種類と防音方法 / 新しいタブで開きます。
    固体音の低減 固体音の低減 / 新しいタブで開きます。

【 高度な防音壁 ( 内壁 ) 】

  • 石膏ボード壁 (木造)
    木製の下地(胴縁)を千鳥に配置して互いの壁が絶縁されている構造、厚さの違う石膏ボード、硬質石膏ボードを打ち付けた壁の形態。吸音に充分なグラスウールを内部に設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約65dB (500Hz時)
    楽器を演奏する部屋・AVルーム・ホームシアタールームや、近くに飛行場などがある地域で施工される仕様です。
    [ 厚さ:約270mm ]
    [ 面密度:約66kg/u ]
    【防音性】
    内部空間を210mm以上設け、壁を固定する木材が互いの壁に接しないよう配置されます。(千鳥配置)
    内部に充分なグラスウールを充填し、石膏ボード、硬質石膏ボードと固有振動の異なる材と厚さのものを組み合わせ、振動しにくくさせています。
    重低音から高音域の音まで殆ど聞こえなくなります。
  • 石膏ボード壁 (鉄骨造)
    鉄製の下地(スタッド)を千鳥に配置して互いの壁が絶縁されている構造、厚さの違う石膏ボード、硬質石膏ボードを打ち付けた壁の形態。吸音に充分なグラスウールを内部に設置した状態の断面図。
    ■防音性能:約65dB (500Hz時)
    楽器を演奏する部屋・AVルーム・ホームシアタールームや、近くに飛行場などがある地域で施工される仕様です。
    [ 厚さ:約270mm ]
    [ 面密度:約66kg/u ]
    【防音性】
    内部空間を210mm以上設け、壁を固定する鋼製枠(スタッド)が互いの壁に接しないよう配置されます。(千鳥配置)
    内部に充分なグラスウールを充填し、石膏ボード、硬質石膏ボードと固有振動の異なる材と厚さのものを組み合わせ、振動しにくくさせています。
    重低音から高音域の音まで殆ど聞こえなくなります。
  • コンクリート壁+PC板 (RC造)
    鉄筋コンクリート壁にグラスウールを貼り付け、その上にコンクリートパネルを設置した状態の壁の断面図。
    ■防音性能:約65dB〜70dB (500Hz時)
    楽器を演奏する部屋・AVルーム・ホームシアタールームや、近くに飛行場などがある地域で施工される仕様です。
    [ 厚さ:240mm〜320mm ]
    [ 面密度:400〜600kg/u = 壁の質量 ]
    【防音性】
    RC壁に50ミリ以上のグラスウールを貼り付け、その上に70ミリのコンクリートパネル(PC板)が浮き壁として設置され、RC壁に振動が伝わりにくくなっています。
    重低音から高音域の音まで殆ど聞こえなくなります。

防音対策のポイントは、
どの位の質量を騒音面にどう設置するかです。

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