− 窓の種類と防音性能 −
現状の窓の防音性を知る事が、
防音対策の第一歩です。
− 目次 −
■ 窓の種類と防音性能
■ ガラスの種類と防音性能
■ 窓の騒音対策
《 窓の種類と防音性能 》
-
- 引き違い窓
- 最も一般的なタイプです。
- ■防音性: 2〜4 ※5が最も高い
-
普及品は、上部と底部のレール部分から機構上音が漏れます。また、経年により、戸当たりのゴムが劣化し、スキマから音が漏れます。
気密性の高いサッシの場合、レール部分も気密性があり、音漏れとなるスキマができ難い機構になっています。
-
- FIX窓 ( はめ殺し窓 )
- 開閉しない窓です。
- ■防音性: 5
-
音漏れとなるスキマは、ありません。
防音性能は、ガラスの種類と厚さで決まります。
-
- 出窓
- 外壁から出ている窓。
- ■防音性: 2〜3
-
機構上、引き違いのレール部分から音が漏れます。また、経年による戸当たりゴムの劣化により、スキマができ、音漏れしやすくなります。
形状が複雑になるほど防音性の弱い部分ができやすくなります。
-
- 上げ下げ窓
- サッシが上下に動きます。
- ■防音性: 3〜4 ※5が最も高い
-
引き違い窓のような機構的なスキマはありませんが、スライド部分の密閉性が不十分な場合、そこから音漏れします。
また、底部にホコリが溜まるとそこから音が漏れます。
-
- 開き窓
- ドアのように開く窓です。
- ■防音性: 4
-
閉まり方がシンプルなので戸当たりのゴムが正常であれば密閉性は高いです。
ゴムが劣化するとスキマが発生し音漏れします。
-
- 両開き窓
- 左右の窓ともに開きます。
- ■防音性: 3〜4
-
片開き窓に比べれば密閉性は低いですが、戸当たりのゴムが正常であれば防音性は高いです。
ゴムが劣化するとスキマが発生し音漏れします。
-
- ルーバー窓
- 羽状のガラスが傾いて換気します。
- ■防音性: 1
-
機構的に多数のスキマがあり、防音には不向きな窓です。
-
- 2重サッシ
- 引き違い窓が2重になっています。
- ■防音性: 4〜5
-
機構上、音漏れしやすい引き違い窓ですが、2重にする事で防音性が向上します。
2重サッシ用の後付けの窓は、音漏れが少ない機構になっています。 1. 既存窓と後付窓との距離 (空気層の厚さ)
2. 後付窓のガラスの種類・厚さによって防音性能は大きく変わります。
-
-
空気層 5センチ 空気層 10センチ
-
《 ガラスの種類と防音性能 》
-
- 単板ガラス ( フロートガラス )
- 最も一般的な窓ガラスです。
-
構成 防音性能グラフ 質量則 - ■防音性: 3 ※5が最も高い
-
ガラスは、比重 2.5と重く、透明素材の中で最も防音性が高い物質です。
単板ガラスの場合、質量に準じて防音性能が向上しますが、高音域では共振により防音性能が低下します。 ( コインシデンス効果 ) ※ガラスに限らず全ての素材には共振する周波数があり、その周波数近辺では防音性能が低下します。
-
- 複層ガラス ( ペアガラス )
- 2層のガラスの間に空気層があります。
-
構成 防音性能グラフ 異厚による改善 - ■防音性: 2〜3
-
ガラス間の空気層の効果で高い断熱性が得られる反面、
密閉された空気※がバネとなって防音性を低下させます。
※ 内部結露防止のため、乾燥空気が封入されています。
( スペーサー部分には、吸湿剤が内蔵されています。)
低音域から500Hz付近までの防音性は、単板ガラスより劣ります。( 同質量で比較 / グラフ参照 )
※ 2層のガラス厚と違える事で防音性の低下をある程度防ぐ事ができます。
-
- 合わせガラス ( ラミペーン )
- ガラスの間に樹脂フィルムが入っています。
-
構成 防音性能グラフ 温度による影響 - ■防音性: 4
-
飛散防止や防犯の(割れない)ために2枚のガラスの間に樹脂製フィルム(厚さ:0.76ミリ)を挟んで一体化させたガラスです。
単板ガラスに比べコインシデンス効果の影響が少なく防音性の低下幅が小さくなります。 但し、低温下(冬季)では、樹脂膜が硬くなり高音域の防音性が低下します。
-
- 防音合わせガラス ( ソノグラス )
- ガラスの間に制振性の樹脂フィルムが入っています。
-
構成 防音性能グラフ [ラミペーンとの比較] - ■防音性: 5
- 低音から高音まで切れ目なく、高い防音性があります。
- ラミペーンの中間膜は飛散防止や防犯のためのものですが、 防音合わせガラス(ソノグラス)の中間膜は、振動抑制効果の高いものが使われています。 また、温度変化による防音性の低下が起き難く、安定した防音性があります。
-
■ 基本的にガラス厚が厚くなれば、防音性能は向上しますが、注意しなければならないのは、複層ガラス(ペアガラス)です。 密閉された空気層による空気バネの影響は思ったよりも大きく、 高いグレードの物を選択しても単板ガラスに劣る場合が多々あります。 断熱性を優先させる場合は、ペアガラスが最適ですが、
防音性を優先させる場合は、防音性のスペックを良く確認する必要があります。
《 窓の騒音対策 》
-
- - 低音域から中音域の騒音 -
-
窓から聞こえる騒音は、殆どが空気音ですが、
近距離から発せられる低音マフラーなどの重低音は、軽量の建物の場合、壁が振動しますので固体音として考えたほうがよいです。 - - 音の伝わり方 ( 引き違い窓 ) -
-
[ 音響インテンシティ測定による音圧のメッシュ画像 ] - 低〜中音域の音は、透過力が強いため
ガラス面全体を押すように透過してきます。 - 《 対策: 窓面全体の質量を増やします。》
- ■ 具体的方法 ■
- ・防音性の高いガラスに変更します。
(上記参照)
[ 弊社 ソリッドガラスもご検討下さい。] - ・樹脂窓などを付加し、2重サッシにします。
※ 空気層の厚さは、10センチ以上とります。 (上記参照) - ・防音パネルなどで窓を塞ぎます。
-
- - 中音域から高音域の騒音 -
-
窓から聞こえる騒音全てが空気音です。
- - 音の伝わり方 ( 引き違い窓 ) -
-
[ 音圧のメッシュ画像 ] - 高音は、透過力が弱いためガラス面では相当量が減衰し、相対的にサッシのスキマからの侵入割合が大きくなります。
- 《 対策: 音漏れとなるスキマを塞ぎます。》
- ■ 具体的方法 ■
- ・防音戸当たりテープなどをサッシの隙間に貼り付けます。 [ 弊社 P型防音テープもご検討下さい。]
- ・底部レール部分のスキマは、丸細く延ばした油粘土(重い粘土)をラップにくるみ、スキマに押し込みます。
( 窓を開閉しない場合。)
-
- 既存の窓ガラスが防音合わせガラスになります。 -
-
- 壁を傷付けず、重低音・低音を低減させます。-